白佐俊憲談話
白佐俊憲談話
―遠友夜学校の本当にすごいところとは―
教師も生徒も、ボロ学校を目前にして歩みを早めたり、吹雪にもかかわらず勇んで通学もした、という歴史的な事実があります。「清純」というか「純愛」というか、それこそ文学で扱っていただきたい異性への憧憬のようなものが、彼らの行動の底流にはあったと思います。学校が、土日の昼間に校外活動を活発にやったことも、情熱に拍車をかけました。とても夜学校のやることではないことをやっていました。そんな中で、カップルとなった人たちもいました。ジェラシーで悩まされた人もいたでしょう。手の届かない人からひと言優しい言葉をかけられ、雪道を走って通った人もきっといたはずです。生徒の、若き瞳や老いの心にも、作文やふだんの活動の中にも、満天の星たちが輝いて見えるかのようでした。この学校のすごさは、案外、そういうところにもあったのではないかと思います。50年間続いたエネルギーのすごさには圧倒されます。ところで、戦争末期になっても、夜学校の教壇を守り続けた学生への報酬は何だったでしょうか。彼らは、交通費の支給も辞退し、「奉仕の喜びだけ」を最上の給与と考えていたそうです。
2023年11月22日 加筆
白佐俊憲
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