遠友夜学校の遺産はどう伝承されたか
※写真は、北海道大学第2農場のモデルバーン(模範的畜舎)
本書は札幌に誕生し終戦近くまで50年間存在した遠友夜学校の歴史と、閉校後の精神の伝承過程を追いかけた年譜。遠友夜学校閉校後の資料の収載に重点を置いている。ガイドブックの役割も果たす。
◆「発刊に臨んで著者が思うこと」(ごあいさつ状)|著者 白佐俊憲(CLICK!)
※本書の特色が分かりやすく記述されています。ご一読をお勧めします。
◆第2版(増改版)について
本書は、PDF版の電子書籍です。国立国会図書館の「デジタルコレクション」にも登録されました。現在は、特に国会図書館のIDを持っていなくても、自由にダウンロードすることできます。また、PDF版ですので、本文中の用語をキーワードで検索することができます。例えば”新渡戸稲造”で検索を行なえば、この固有名詞の記述のある段落が、すべて表示されます。これはとても便利な機能です。
当初は、電子版のみを発刊する予定でした。紙面で読みたい方にとってはそれでは逆に不便ですから、製本版もご用意いたしました。製本直送.comというオンデマンド印刷業者に依頼しております。オンデマンドというのは、必要なときに必要なだけ印刷する、という意味です。従って、在庫を持っているわけではありません。下のオレンジ色のボタンをクリックすると、販売サイトが表示されます。クレジットカード決済、Amazon Payなど様々な支払い方法から選択できます。納期は1週間から10日です。
初版本は、A4サイズで、価格は5,000円を少し超えていました。不評でした。その反省に立って、第2版(増改版)は、サイズはB5で、価格は製本レベルで3千円代後半としました。ほかに、製本直送.comに支払う、配達コストや購入サイト運営費もありますので、販売価格はどうしても4千円超となってしまいました。この点、悪しからずお含みおきくだい。
サイズ縮小のほか、追加の情報・資料等の大幅な充実が総ページ数を349ページと大幅に増やしています。第2版を増改版と呼ぶ所以です。ちなみに初版は204ページでした。
発売開始日は、2023年10月15日です。この日は、故新渡戸稲造博士の90回目の召天記念日に当たります。
Q.「新渡戸稲造」「遠友夜学校」とは?
A.新渡戸稲造と遠友夜学校と現在、という形でお答えします。
北海道大学の前身である札幌農学校の2期生に、新渡戸稲造がいました。内村鑑三(キリスト教の無教会主義を提唱)、宮部金吾(植物学者)とは同期でした。
その新渡戸稲造が米国人のメアリー夫人とともに創設したのが、「遠友夜学校」です。遠友のための夜学校という意味です。
⇒ 遠友夜学校 ‐ Wikipedia
遠友夜学校は、逆境にいて、勉強したくてもできない子どもたちや晩学の人々に無料で教えることをモットーとしていました。札幌市内の豊平川近くの豊かでない地域にその学び舎がありました。終戦直前の1944年(昭和19)まで、明治・大正・昭和と50年間、その役目を果たし続けました。
新渡戸は日本人の精神の拠り所は何か、と西洋人に尋ねられ、答えに窮し、『武士道』という本を著しました。英語で記述されています。そして、新渡戸の座右の銘には「逆境は順境なり」という言葉もあります。さらに、新渡戸はどんな人でも勉強する権利があるという「リベラル」な考えを持っていました。リベラルというのは、垣根をつくらない、という意味です。
閉塞感満載の今だからこそ、そんな新渡戸稲造と遠友夜学校の思想に光を当てる必要がある、と主張する人々がいます。現に、以下のように、様々な動きがあります。
◆平成遠友夜学校(北大構内「遠友学舎」を校舎とする|北大獣医学部名誉教授:藤田正一校長)の活動(Wikipediaにlink)
⇒ 遠友学舎 ‐ Wikipedia
⇒ 藤田正一 ‐ Wikipedia
◆(一社)新渡戸遠友リビングラボ(北大農学部名誉教授:松井博和理事長)の活動(Wikipediaにlink)
⇒ 松井博和 ‐ Wikipedia
◆ドキュメンタリー映画『新渡戸の夢』(野澤和之監督)の公開(YouTubeにlink)
⇒ 野澤和之 ‐ Wikipedia
◆『遠友夜学校の遺産はどう伝承されたか―新渡戸稲造の夢を未来へつなぐ年譜』(白佐俊憲 著)を上梓(国立国会図書館にlink)
⇒ 白佐俊憲 ‐ 随筆春秋「会員の部屋」
◆現代に生きる新渡戸稲造の魂 ―映画「新渡戸の夢」の製作―
北海道大学東京同窓会会報『フロンティア』2023年8月20日号に掲載